【2001年10月】外交について/春さんベトナム人の花嫁を娶るの記④
春さんのひとりごと
今月は外交についてです。
8月号にも書いた外交の話、私が特に外交について深い識見があって述べた話ではなく、雑談で述べたものですが、ただこちらにいて感じるのは、普段の付き合いのレベルでも自分の非をすぐ認め、「スミマセン・ゴメンナサイ」というのは日本ほどは聞くことは少ないということです。
ある時、横から急にバイクが飛び出てきて、私の知人の一人の日本人が横転して肩の骨を折った時、現場のその状況から相手に完全に非があると分かっていても相手はその肩の骨が折れた人に「お前が悪い!」と堂々と言い放ったそうです。その日本人はそう言われると二の句が告げなかったと言っていました。
自分に非が無い場合は勿論、非が有ると分かればなおさら声高に、大きくワーと怒鳴りまくるうちに自分の言い分が通じて行くんだというのを、ベトナム人に限らず、中国人などは体で小さい中から身に付けているような気がしてなりません。それが日常生活の、売り手がフツカケ、買い手が値切り、「まけろ!まけない!」という交渉にも現れて来るし外交のようなもっと大きい場面にも繋がっている気がします。
要するに国家主権や領土に関する交渉でも、明らかにフッカケて強くものを言うのを当たり前のようにしてくる中国のような国と、それが分からず相手が強く出るとすぐそれに対して飛び上がるように、政府やマスコミが驚く国・日本との差でしょうか。
「またフッカケテ来やがった」と泰然と余裕を持つ発想の無い国は、いつまでも相手のペースに引きずられて行くのが落ちです。事実今の日本と中国や韓国との関係はまさしくそうなりつつあるでしょう。
このベトナムにいても田中さんがハノイを訪問したと言うのは、今回ベトナムを訪問したいろんな国の中の外務大臣の中のワン オブ ゼムで、「日本国の外務大臣が来た!」という存在感は情けないほど、全くありません。
国際社会のこれが現状なのでしょう。私も近頃は安くモノを値切る「成功」を期待せず、高くモノを買う「失敗」をしないようにしています。それが交渉下手の私などが相手のフッカケたことに対しての最善の方法だと分かってきましたから・・・・・・・・。
春さんベトナム人の花嫁を娶るの記④
あっちへ行けこっちへ行けと言われて春さんの眉間に溜まる怒りの光線。さて顛末は?3月12日の続きをお楽しみください。
3月12日続き
それでこの「あっちへ行け」というのはそちらに行けば担当の者がいるという意味ではなく、ただ単に「自分の所には仕事を持って来るな!他の奴の所へ行け!」という意味だと分かる。ベトナム人に対してですらこうだから、外国人が尋ねても絶望的である。らちが明かないので仕方なく、浅野さんに電話して尋ねる。浅野さんはダラットの例しか知らないので、サイゴンがどうかは明確には分からないが2の方(ベトナム語に約した方の書類)ではないかと言う。
それを聞いてまた窓口に並ぶが、もうその時は担当の者はなんと皆んな食事に出かけてしまっているではないか!この時まだ11時である。何時に帰るのか聞くと2時だと言う。やれやれという感じである。まあこれがベトナム社会主義国の公務員の実態なのである。中国も同じような状態であると聞くが。このような国々に対して日本は何百億円という資金を援助しているが、もらっている当の国がまじめに働く気が無いのに、いかに壮大な税金の無駄な投入をしているのかが良く分かろうというものである。
彼女に言わせると、それでも今はこれでも少しはマシな方で、7・8年前はもっともっと公務員という公務員は怠慢の極みであったというから、ちょっと日本人には想像を絶する世界である。午前中は時間切れ。
午後改めて出直して公証役場に行く。午後も部屋の中には6つの机に全員は居なくて、女性が一人だけいる。しかも我々が入って来ても堂々と雑誌を見ている。結局ここで日本領事館からもらった原本のコピーのほうに1回ハンコを押してもらい、また同じフロア-の2人が仕事をしている別の部屋に行き、2回目のハンコをおしてもらい、またさらに同じフロア-の別の部屋に行き(ここでも2人の人が仕事をしている)3回目のハンコを押してもらい、最後のそこで84,000ドンを支払ってようやく終了した。
ここでまた日本領事館から貰ったほうのコピーを1部渡す。結局4部のうち、この日にこの公証役場で2部を渡す。ハンコを押すのは渡した方の2部ではなく、こちらがわに預かったほうの2部。この間はたまたま人が少ないということもあり約30分で終了。
社会主義は官僚主義、官僚主義は形式主義と言うが、しかし2種類の書類にハンコを押すだけの作業の為に10人の人間が関わっている訳で、ベトナム全土では膨大な人数が毎日形式主義の最たるこんなハンコ押しをやっているのだろうと想像出来る。
ふー 長かった怒りの12日が終わった。この後もきっと何かありそうだ。 つづきもお楽しみに!