【2006年9月】ベトナムでホームステイをする/ベトナムのハスの文化を紹介
春さんのひとりごと
<ベトナムでホームステイをする>
今年で7回目のマングローブ親善大使がベトナムに来ました。
今回の親善大使から正式に「ベトナムでホームステイ」をするというプログラムを取り入れました。
このホームステイをするに当たっては、日本語学校の校長先生とホームステイの対象となる家を回り、「日本人が泊まれる家」を絞り込んでいきました。
選定するに当たって私が一番必要とした条件は、何といっても受け入れてくれる家族の温かさです。家のキレイさ広さや設備の良さ・悪さなどはその後に来るものです。
今回は親善大使を受け入れてくれる家として、3軒の家に依頼しました。家族の状況をよく聞いてみると、両親ともすべて共働きで働いていました。
それで私が、「生徒たちの夕食を作るのは大変でしょうから、当日はみんなで集まってどこかで食事会をしましょうか」と提案しました。すると、「いや、日本の生徒さんたちの食事は我が家で用意しますよ。ベトナムの家族料理をみんなに食べさせたいと思います」と、3軒の家全部からそういう申し出があったのです。
これには大変感激しました。ベトナムの人(特にサイゴンの人)はお客をもてなす気持ちが大変強いのですが、今回のホームステイの家族には特に強くそれを感じました。
日本の生徒たちを迎えに来て、それぞれの家族に連れられて行く時には、(上手く家族と交流が出来ているだろうか)と、その夜は正直心配でした。しかしその翌日ホームステイを終えてホテルに帰って来た時に、全員が「本当に楽しかったです!」と言ってくれた時には大変嬉しかったです。
べトナムにはいろんな人たちがやって来ます。大人から大学生や高校生や小・中学生まで。その人たちはいろんな所に観光に行き、いろんな場所を訪問します。しかしベトナムを去る時、「何が一番印象に残りましたか?」と聞きますと、「ベトナムでこういう人と知り合えた。こういう友達が出来た。」という答えが多いです。「あの観光地は良かった。」というのは、すぐ答えとして返っては来ません。
異国を訪問した時の印象に残る思い出というのは、観光地や名所・旧跡などではなく、やはり人との出会いや触れ合い・交流などではないでしょうか。
そういう意味では今回の親善大使は、ベトナムの普通の家庭に泊まり、ベトナムの日本語を学んでいる生徒たちと徒歩で市内観光をし、ベトナムの恵まれない小学生たちとの交流会も実現し、この夏「忘れられない思い出」が出来たのではないかと思います。
ベトナムBAOニュース
「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。
■ 今月のニュース 「ベトナムのハスの文化を紹介」■
今年も「国際週間」がアジア、ヨーロッパ、アメリカなど11カ国から15人の大学生が参加して日本で開催された。これは大学生が自国の文化を紹介したり、また参加者同志が友情を温める大変良い機会でもある。
ベトナムからは、2人の女子大生が日本での「国際週間」のプログラムに使節として派遣されて帰って来たばかりである。2人はホーチミン市にある人文社会大学・英文科に在籍している、Huyen(フイン)さんとQuyen(クイン)さんである。
2人はベトナムと日本の文化の考察の試験のテーマ「能動的に生活し、視野を広げるために」で優秀な成績を修めて今回の派遣となったが、数日前に帰って来たばかりであり、今回の日本訪問の熱い感動を話してくれた。
※ お2人はこの「国際週間」に参加している間に、どのような活動をされましたか?※
―Huyenさん・Quyenさん―
私たちは日本の伝統文化についていろいろ調べたり、研究したりしました。また日本人の家にホームステイしたりしましたが、家族のようにもてなして頂きました。また富士山にも登ったり、会社を訪問したり、農村を訪ねたり、原子爆弾について議論したり、現在の日本について調べたりしました。
※ お2人はこの「国際週間」に参加する前に、何を準備しましたか?※
参加した大学生たちが、それぞれの国の伝統的な自慢の料理を紹介する‘料理の日’がありましたので、私たちは「ハス」に関連のあるものをいろいろ準備しました。ハスの葉で包んで蒸したご飯、レンコンのスープ、ハスの茎のサラダ、ハスの実のチェーなどです。
ベトナムの人たちがこれらの料理を愛するのと同じような気持ちを込めて、外国の人たちには珍しいそのようなものを提供しようと2人で決めました。
特に北部・中部・南部それぞれの特徴を紹介するものをトランク一杯に詰め込みました。ハノイにある文廟や、ホアンキエム湖や、中部の世界遺産ミー・ソンの遺跡などに関する資料や、写真やビデオや、「ボンジュール・ベトナム」曲の入ったテープやホーチミン市が発展している様子を写した写真やビデオなどを用意していきました。
各国の自己紹介の持ち時間は10分しか与えられていなかったのですが、私たちは気持ちが少し上がってしまっていて、結局20分も話してしまいました。
※ 何に一番、みなさんは驚いていましたか?※
ほとんどの若い人たちは、ベトナムについては何も知っていません。ベトナムについてみんなが考え付くことと言えば・・・ベトナム戦争、大変貧しい、後進国などです。これは日本の年配の人たちでも同じような考えです。私たちはこのこと(ベトナムがほとんど知られていないこと)について、大変いらだちました。
しかし私たちがハスやハスの花を利用した料理を紹介・説明すると、みんなが驚きました。特に私たちがアオザイを着てみんなの前に現れた時には、全員のみなさんの目を惹き付けました。
※ 日本や日本の人たちに、お2人は忘れられない思い出がありますか?※
日本という国は本当に美しく、近代的で、人々は本当に友好的でした。空港に着いた時から市内に向かうまで、どこに行っても私たちに接する人たちみんなが、私たち外国から来たお客に対して笑顔を絶やしませんでした。
今まで本やテレビやビデオでしか見たことのない、本当の生の「日本と日本人」に毎日接して大変新鮮な感動を覚えました。毎日到るところで、毎日いろんなことを「日本と日本人」について勉強することが出来ました。
でも世界から来たみんなと談笑しながら学んだことは、「人間の生活というのは、みんなどこでも普通なのだ」ということではないでしょうか。ご飯を食べる時はハシやスプーンを使い、みんながご飯を食べあいながら談笑している時、もっと更にお互いの理解が深まるような気がしました。
(解説)
日本から研修や留学や旅行などでベトナムに帰って来たベトナム人に「日本では何に一番驚きましたか?」という質問をしたことがあります。こういう質問はそれぞれ一人一人の観察眼が出ていて面白いのですが、人によって答えは様々です。
「日本は本当にきれいでした」「人々が大変親切でした」「新幹線の速さに驚きました」「京都はすごくキレイなところでした」・・などは紋切り型の答えですが、「自動販売機が多いです」「信号が赤の時、誰も通ってない時でも青になるまでみんなが待っている」などは面白い感想ですね。
特に自動販売機に関しては、日本の私の田舎には深夜でも無人の「卵の自動販売機」が人通りの少ない田舎道にポツンと置かれています。まあこういうのは日本ではありふれた光景でしょう。それを見て私のベトナム人の女房は「誰も卵を盗っていかないの?不思議だ。」と驚いていました。こういう反応もまた面白いです。
しかしベトナム人に聞いた中で一番「なるほど面白い!」と思ったのは、「都会の街中ではそれぞれの家の前の道路を、その家の人がきれいに掃除していること。」という答えでした。これはベトナム人だけではなく、他のアジアの国から来た人も同じようなことを言っていましたね。
他の国は知りませんが、確かにベトナムに関して言えば道路を掃除するのは道路掃除専門の人です。この人たちは、毎日ホウキで朝から晩まで、ベトナム人が道路に棄てたゴミを掃除しています。
その掃除の人が作業を終わって遠くに去ると、またすぐその道路の前の家の人が、すぐ自分の家の前の道路にゴミをボンボンと棄てます。ホーチミン市内には日本のようなゴミ箱がないことはないのですが、その数があまりに少ないので市内全部には普及していません。
外国人が多く居住するホーチミン市1区は、掃除の人たちがいつも道路の清掃をしていますのでキレイですが、少し離れた区域ではそこまで手が回りません。ですから道路そのものが、まさしくゴミ箱の状態になっているのです。
ベトナムでは、家の人たちが自分の家の前の道路にゴミをボンボン棄てるのはごく普通に目にする光景ですが、どこからもお金も貰わないのに自分の家の前の道路を毎日掃除することは普通にはありません。
日本も昔は汚かったのでしょうが、今の日本はごく普通の人たちが無料報酬で各自の家の前を掃除しているからこそ、私も道路にゴミをボンボン投げ棄てるのが当たり前のベトナムから日本に帰った時「本当に日本はきれいなものだなあー」と実感します。
外国人から見たら驚くようなこういう光景は、私たち日本人には当たり前の光景です。しかしこういう習慣はいつまでも大切にしていきたい「日本の伝統文化」の一つですね。